亀山社中と珈琲~
コーヒーの長崎出島物語(その1)
西欧と日本の文化の「扉」はコーヒーだった!?
コーヒーを初めて口にした日本人はどんな顔をして飲んだのだろう?
『さあ一杯、どうぞ』
給仕が運んできたコーヒーを自慢たっぷりに差し出すオランダ商人。
その表情には、この世で一番おいしい飲みものをすすめるという誇らしさがありました。
コーヒーがヨーロッパに伝わってから約200年を経て、コーヒーはすっかり西欧の人々の生活に定着し、なくてはならない飲みものになっていました。
一方その間、鎖国政策をとっていた日本は世界のコーヒー文化から取り残されていきました。
しかし、ここ長崎・出島だけは別。西欧の文化に触れることのできる唯一の場所でした。
そして先ほどのオランダ人の屋敷では、ひとりの日本人が慣れないテーブルとイスという居心地の悪さに加え、目の前に差し出された未知の飲みものを前に緊張しています。
“コーヒーを楽しむゆとり”まではなかったかもしれません。
しかし、そのコーヒーの味は西欧への憧れと共に、しっかりと胸にきざみこまれたはずです。
ところで、初めてコーヒーを飲む名誉を与えられた日本人は誰だったのでしょう? お役人か、通訳か?それとも出入りの商人か…?
たとえそれが誰であったにしても、コーヒーを飲み終えたその人物が発した言葉は、心からのお礼の言葉、『さんきゅー、べりーまっち』であったと思います。 1609年
(天正14年) 平戸に和蘭商館が開設され、コーヒーが伝えられたと言われています